[章]
21-03
21-00
父さんは僕が代筆していることを知っていたんだ。確かめはしないが母さんが話したのかもしれない。だがもうそんなことに意味はなかった。原稿はこの父さんの「後日談」によって大成されるのだ。顔を歪めたまま僕は震える手でその下書きを慎重に打ち込んでいった。 代筆開始から約二週間後、僕たち三人が手がけた原稿は形になった。しかしまだ完成ではない。これから大事な試験が待っている。